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2014/07/22

ヒマラヤを歩く 〜極めつけのザンスカール 2weeks編 プロローグ〜


インド、ラダック地方の中心都市レーには、魅力がぎゅっと詰まっている。

おいしいご飯、ショッピング、近隣の村へのジープトリップ。。。
レーを拠点にして何日でも楽しめそうだったが、
この無限に広がる山々を見て、トレッキングせずには絶対帰られない。


ここラダックで、ヒマラヤ歩きの集大成トレッキングが始まる!!


スタート地点

















ラダック地方は標高3500~7000mに及ぶ高地のためトレッキングルートは無数にあり、
どれもそれぞれ魅力満載なのでどのルートにするかとても決め難かった。

レーにあるトレッキングエージェンシーを一軒一軒回り、
様々な登山情報を集める中で、ある興味深い話を一人のおじさんから聞いた。

「ザンスカール地方では、数年前から山を切り開いて車道を建設中で
昔は歩いたら2ヶ月はかかるルートを今では2週間で歩ける。
5年後には全ルートを車で通れるようになるだろう。」

道路が開通すると、インド人観光客がたくさん流れ込み、
ガソリンを運ぶダンプが日々砂埃をあげるようになるということだ。

環境汚染や文化維持の理由で反対する人と、
教育や地域活性、村々への物品運搬のため賛成する人と賛否両論のようだが、
こうしている今でも、毎日約5kmの道がずんずんと切り開かれているという。

この話を聞いてすぐ、心は決まった。

今、ザンスカールへ行くしかない。
今しか見れない、感じられない場所がある。

バラナシへ行く予定をあきらめ、フライトも予約し直し、
ザンスカール(Zanskar)での2週間の長期トレッキングへ向けて走り出した。


登山ミーティング。何のサイズについて話してるかは謎














ザンスカールは、チベット系民族が住む半砂漠地帯で、
散らばった小さな村々で人々は自給自足の生活している。

バスなら合計20時間ほどかかるマナリー〜レー間を、
レーから登山スタート地点までジープで6時間、そしてザンスカールを2週間歩き、
その後さらに6時間ジープで走ればマナリーに着くというルートだ。

このルートには、料理を提供してくれる山小屋や、ここといったキャンプポイントはない。
今まで以上の荒野。まさにイントゥザワイルド。

そのため、レーにあるトレッキングエージェンシーで
全部オーガナイズしてもらうのが一般的だが、
私たちは今まで培った知識と経験を踏まえて、
登山準備から料理、野営まで、全部自分たちの手でやりたかった。

毎日山を歩くことだけでももちろん体力は使うけど、
こういった自分の身の回りのことで自分でやるかやらないかでハード具合は全然違う。
と同時に、面白さも倍増し、山との距離感がぐっと近くなると心得ていた。


ジープからの風景。恐竜発見?
















朝、昼、晩に必要な食料、調理器具、火を焚くケロシン、ロープ、、、
などなど、必要なものを皆で話し合い、長いリストを作った。
そして翌日、全員で分担して荷物を調達しにレーの商店を徘徊する。

慣れない土地での買い物は予想以上に大変だった。
店の人と交渉し、重たい荷物を担いで何度もゲストハウスと商店を行き来する。
日程的にその日一日で荷物をまとめ準備完了しなければならなかったため、必死だった。
丸一日かかって何とか全ての準備を終え、レーで最後の晩餐をした後
ゲストハウス近くのネットカフェへ行くと、
「仕事は終わったのか?」と店員から言われ「???」となっていると、
「お前たち、今日一日でかい荷物担いで何度も店の前を往復してただろう。」
と言われ、皆で笑った。
バックパッカーがのんびり過ごすレーでは、さぞかし謎の光景だったに違いない。


今回の登山メンバーは、おなじみエリオットとジェリーに加えて、
レーで声かけた背の高いドイツ人ヨハネスと、
ハネムーン旅中のりょう君ちひろちゃん夫妻。
今回も面白いメンツが揃った。

翌日、ジープに乗り込み、トレッキングスタート地点を目指す。
が、不安点が私たちには二つあった。

1つは、荷物を運んでくれる馬と、馬飼い兼ガイドさんの手配を
直接交渉で村で見つけられるかどうかということ。
私たちは、最小数の馬と、馬の世話とガイドを兼ねてしてくれる人を
探していたため、エージェンシーには手配を頼まなかったのだ。
彼らが居なくては私たちの旅は始まらない。

あと1つは、前日にちひろちゃんが40度近い高熱を出したのに加え、
ジェリーも当日吐き気を訴えぐったりしていることだった。
これから先の長いトレッキングプランは、全員そろってでないと成し得なかった。


病は気から?
とにかくまずは馬と馬飼いさんを探す。



















通りがかりに見つけた、手作りの石と土の家が数軒だけある村の一軒に立ち寄った。
優しさが滲み出る青年は、立ち話はなんだからといった感じで私たちを家の中へ案内した。

極寒の冬の雪に備えるためか、真っ暗な洞窟のような通路を抜けると、
キッチン兼リビングルームがあり、そこでお茶とビスケットを出してくれた。


リビングルーム























彼の家畜は今別の場所にいて、トレッキングは明後日からでないと始められないとのことだった。
これから2週間一緒に過ごすのだから、やはり気の合う人と時間を共に過ごしたい。
英語はつたなかったものの、彼の朗らかな空気感にとても惹かれたが、
残念ながら条件が合わなかったため、お礼を言って彼の家を後にした。
アンティークというべきか、年期の入った食器や立派な装飾が施された
薪ストープに囲まれ、一瞬だったがタイムスリップした感覚になった。


ジープから見える風景は、次から次へと印象が変わる。
でこぼこ道で速度は出ていないものの、早く自分の足を地につけて歩きたい!と思った。
その傍らで、回復していくちひろちゃんとは逆に、ジェリーはぐったりとしていた。

そして走ること約6時間後、トレッキングスタートポイントの村が見えてきた!


とある村の風景

















岩壁を削ってできた村の人々はほとんどが親族で、代々この土地に住み、数百年前と変わらない生活をしている。
変わったことと言えば、道が出来て、私たちのような外国人がふらっと
現れるようになったことだろう。
それでも村の人たちは笑顔であたたかく私たちを迎えてくれた。


槍とスコップを担いだおばあちゃん
























村へ入って再度馬と馬飼いさん探しスタート。
開始早々、翌朝から出発できるという青年2人とロバさんと出会う。

彼らには英語もヒンドゥー語でさえも通じなかったため不安ではあったが、
ぎりぎりの口約束で、翌朝私たちがテントを張ってる場所で合流し、
トレッキングを一緒にすることを約束をした。

テント泊一日目。
日が暮れて出すと、急に風が強くなり気温が一気に下がった。
今までの山より、格段に寒い。でもまだ標高は4000m以下。
これからどんどん登っていくのだ。

とにかく体調万全で明日を迎えようと、全員真っ暗になると同時に就寝した。


翌朝、30分ほど遅れて青年とロバさんたちが約束どおり登場して、ほっと安心。

いろんな不安材料をクリアし、なんとかトレッキング開始。。。

となるはずが、まだ体調が優れないジェリーに加えて、
エリオットも同じ症状を訴えだした。顔色がわるい。仲間内感染?

不安材料はさらに増えたが、もうここまで来たら後には引き返せない。
とりあえず私たちは太陽が照りつける中歩き出した。


これから2週間、どんなドラマが待っているのか。

体調万全でピンピンしている私は、張り切ってバックパックを背負った。


つづく。


いざ出陣!

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