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2014/09/17

ほんとのほんとに必要なもの 〜野生動物フォト付き〜


マユ、ほんとうにコーヒー好き?

ひとしきりの会話を終えてエリオットにそう聞かれたとき、
毎朝欠かさず飲んでいるコーヒーがほんとうに好きかどうか分からなくった。

大好きだから飲んでるはずだけど、すぐに「好き」と答えられなかった。
その理由には、これまでの一連の過程があった。


かわいい、のひとこと























半年前から私より先にケープタウンに住んでいるエリオットの、
これから私の自宅となるアパートの部屋に初めて入ったとき、
なんてがらんとした空間なんだろうと、妙な違和感を感じた。
生活感がないというか、何ともスッキリしている。

住み始めて数日たったとき、その違和感のわけが分かった。


わたしさそり座の女
















まず、家電がほとんどない。

唯一あるのは、前の住人が置いていったというすすぎと乾燥が分かれていて
水漏れする旧式の洗濯機とアイロン。掃除機やテレビはもちろん、冷蔵庫もない。
それに加え、文房具や調味料も超必要最低限のものしかなかった。

スカイプで彼と話していたとき、
「 室内でキャンプしてるみたいな感じで楽しいよ。今は寝袋で寝てるし!」
と確かに言ってはいたが、私の予想をはるかに越えていた。

ベッドもソファもテーブルも、廃木材を利用してエリオットが作ったものだったので、
彼が引っ越したときには本当に室内キャンプ状態だったのだろう。


陸カメ tortoise
















始めのうちは、料理をするにもお玉やヘラといった調理器具やキッチン家電もないし、
まな板はエリオットが会社から持ってきた使わない15cm角の木のサンプルだし、
戸惑うことばかりで変なストレスが溜まった。

しかしさらに数日たつと、その不便具合に少しずつ慣れてきて、
冷蔵庫がないなら新鮮な食べきれる量のみの食材でご飯をつくろうとか、
このプラスチック、何かに使えるんじゃないか、
と他のもので代用することを常に考えるようになった。

すると、今まで特に気にせずやってきたことに対して知恵と工夫を凝らすようになり、
最初は不自由に感じていたことが、むしろ楽しくなっていった。


Dassie munched leaves
















そういえば、インドを旅していたときにもこれと同じ現象が起きていた。

洗濯はすべて手洗い、シャワーは川。
トイレットペーパーがないならチクチクしない柔らかめの葉っぱをむしり、
野菜がなければ野草を食べていた。

ないものはない。あるもので意外と全然なんとかなったりする。
そして生活の新しい発見にわくわくする。

。。これはヒマラヤでの究極な例ではあるけど、
旅を重ねるにつれてバックパックの中身がどんどん軽くなっていったように、
普段の生活でもこれと同じことができるんじゃないかと気付いた。
山だから、インドだから例外だったってわけじゃない


実際むちゃデカい























自分にとって本来そこまで必要でなかったものが削ぎ落とされると、
今度は自然と自分にとって本当に必要なものが見えてきた。

ちなみに今の私が一番欲したものは、映画を観る環境 (プロジェクター)で、
エリオットにとっては質のいい音楽を聞く環境 (手作りスピーカーとそのシステム)だった。
私たちの性格上、冷蔵庫よりも、空間を心地よく楽しむことがまず最優先だったようだ。



また、旅中に出会ったとあるイタリア人は、服や生活必需品を最小限に抑えて
バックパックにエスプレッソマシーンを詰め込んでいた。

始めの話に戻るが、エスプレッソマシーンの重量と手間に変えてでも
旅中いつも美味しいコーヒーを飲みたいと切望する彼こそが、
ほんとのほんとにコーヒーを必要とし、心から好き!といえる人なのではないだろうか。

私がコーヒーを好きだと思う感覚は、もちろん味覚からくるものも大いにあるが、
大部分は私の頭の中で造り上げたもの、つまりは習慣性なのかもしれない。


凶暴バブーンに怯む
















少し論点はずれたけれど、
生活をよりシンプルにしてみることで、自分の口に入るもの、毎日でるゴミ、
何気なく消費しているエネルギーの全体を、自分でちゃんと把握できるようになる。

そしてなにより、普段普通に過ごしていたら得られない、深いありがたみを感じる。
これが一番大切なことだと思う。

この感謝とありがたみの気持ちを日々改めて目の当たりにしたとき、
色んなことに優しく、そしてありのままを受け入れられるような気がする。


鳥がほんとのほんとに好き!













あなたにとって、ほんとのほんとに必要なものはなんですか?




つづく。






Photo by Elliot Rowe























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