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2014/09/12

南アフリカ、自然と街とその空気



アフリカ大陸の最先端、南アフリカ共和国に越してきて2週間とちょい。

夏の気配を感じる強い日差しと心地よい風、
キッチンの窓から見える絶景のテーブルマウンテンを眺めながらも、
なぜか悶々とした気持ちを拭えずにいた


リビングルームの窓から

















私が今住むケープタウンは、アフリカの中では特に栄えた街で、
ハイストリートにはセンスのいいカフェやギャラリーが建ち並び、
週末は道路まで人がはみ出すほど若者たちで賑やかになる。

さほどヨーロッパの街などと変わらない光景だが、違うことといえば
ケープタウンには歩いていける距離に美しい海があり、山があること。
そして10分車を走らせたら新鮮な湧き水を汲める場所もあるし、
フルーツや野菜も地元産が多く、安くておいしい。


Lions heads から街をのぞむ。かなり暴風














ここまで聞くと、最高に住みやすい街のようだが、
私が今まで行ったことのある国とは決定的に異なるところがあった。


それは治安と格差だ。

たくさんの人から、「南アフリカの治安ってどうなの?
とここへ来る前から聞かれていたが、住み始めた今の方が、この質問の返答に困る。

自宅は2階建てのアパートなのだが、家に入るまでに檻のような
鉄格子3つとドアのロック2つ、計5つの鍵を開けなければならない。
かばんの中は家の鍵でいつもじゃらじゃらだ。
ちょっとハイセンスなお店に入るにも、毎回ブザーを鳴らして店員さんに鉄格子を開けてもらって入る。

家の塀には痛々しい有刺鉄線があたりまえで、場所によっては電流が流れる柵が
どの家にも張り巡らされる。いったい何が襲ってくるんだっていうほどのセキュリティ。

そしてなにより違和感を感じるのが、お店が空いているストリート以外は
暗くなるとほとんど誰も外を歩いていないということ。
少なくとも、女性や白人さんが一人で歩いている光景は見掛けたことがない。


夕焼けに浮かび上がる工場地帯

















そういった環境の雰囲気から異常な警戒心が芽生えて、
昼間通りすがりに人に声を掛けられただけでビクッとしてしまう。

でも。
実際のところ、どれほど本当に危険なのか?

思い返してみると、ロンドンで住んでいた頃の移民が多くて、
怪しげな商店や倉庫が立ち並ぶ地域の方がよっほど危険な香りが漂っていた。
にもかかわらず、普通に夜ひとりで歩けていたのはなぜか?慣れの問題?


いや、そのちがいはきっと、常に感じる社会の格差かと思う。

中心街を出て15分ほど車を走らせると、見渡す限り広がるタウンシップが目に入る。
タウンシップとは、アパルトヘイト政策で強制的に移動させられた旧有色移住区、
いわゆる第6地区の名残だ。

アパルトヘイトが撤廃されてから20年たった今も、こういった場所で住む人が
380万ほどもいると言われていて、多くの人がケープタウンの人口統計に含まれていない。


タウンシップ
















インドでも様々な貧困の現状を目の当たりにしてきたけど、ここは何かが根本的に違うように感じた。

南アフリカに来たらタウンシップを訪れてみよう、と軽々しく思っていたが、
実際は地元の人と巡るタウンシップ見学ツアーに高額を支払って参加しないと
安全に立ち入ることが出来ないほど、私たちと隔離されていた。

友達と治安についての話になると、
チャリティでタウンシップにいた男性が射殺されたとか、
ヒッチハイクでタウンシップの人を乗せたら車ごと襲撃されたとか、
とにかく物騒な話を耳にするばかりで、恐怖感だけが自分の意志とは逆に蓄積されていく。

治安がいい、悪いという基準と判断は、とっても難しい。

だけど今のところ、私の中の危険信号は、自分が身に染みて体感したものではないのは確かだ。
( 身に染みたときはアウトだけど )
周囲の助言は助言としてしっかりと受け止めつつ、自分の行動を一番に信じなければ、
色んなことに見て見ぬフリして生きていくことになる。

アフリカの根深い歴史と課題を、早くも日々痛感する。

キャンプへいこう!
















街にいると答えのない疑問が常に降りかかってきて、無限のループにハマりかける。
そんな私の頭の中をリセットしてくれるのは、やっぱり自然だった。


Cedarburg

















ナミビアへ続く道を4時間ほど走り、唯一ルイボスの葉が育つという高地、Cedarburgへ向かう。


虹がかかる羊
























テーブルマウンテンもそうだけど、山の中央付近から上半分が岩でごつごつしていて、
頂上が平らになっている山が多い。

なんでも600万年とかいう気が遠くなる年月の間、
頂上から山が浸食されていって、今の姿になったらしい。

むかしむかし、この山は富士山より大きかったのかも。と想像を巡らせてみる。


宇宙船雲


















右の壁は岩を利用した山小屋
























どうやってその形に?どうそのバランス保ってるの?
というのうな岩がゴロゴロと転がっていて、遺跡のようにも見える。

Cedarburgにいる間、なぜかデジャヴの連続で、夜は満天の星の中に
飛行機でも衛生でもない何かが数分間の間にいくつも交差するのを皆で見た。

日本だったらパワースポットと騒がれること間違いない場所だが、
ここは私たち以外誰ひとりとしていない、静かで安心できる場所だった。


すでにアンティーク




















そのまま髪飾りに

















アフリカにはこんな大自然や動植物が溢れているかと思うと、わくわくが止まらない。

何をやるにしても、自分自身楽しんでやらないと意味がないことに改めて気付かされる。

きっかけやチャンスは周りに満ち溢れている。
あとはとりあえず一歩踏み出してみるだけだ。


つづく。


車からバードウォッチング




















Photo by Elliot and Mayu

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