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2014/09/17

ヒマラヤを歩く 〜極めつけのザンスカール 2weeks編 その3〜



テントを張り終え、カレーを煮込みながらあとの3人の到着を待つ。
1時間たっても、2時間たっても姿は見えない。
まもなく日も傾きはじめ、徐々に心配な気持ちは膨れ上がっていく。

すると私たちの到着から3時間遅れて、ようやくヨハネスがテントポイントへ到着。
だが、そこにりょうくんとちひろちゃんの姿はなかった。

ヨハネスによると、かなり手前の地点で二人を追い越して以来見掛けていないらしい。
もう空には星が輝きだして、あたりは真っ暗になろうとしていた。



宇宙を感じる星たち
















それからさらに1時間がたち、嫌な予感がみんなの頭の中をよぎる。

なにかあったのだろうか。道に迷っているんじゃないか。
あくまで憶測に過ぎないが、あまりにも遅過ぎる。
そしてなんといっても、ここに辿り着くまでの道中には恐ろしく深い崖がある。
視界が悪い状態であそこを通過するのは、危険極まりない。

いてもたってもいられず、スリさんとエリオットが二人を探しにいくことになった。
二人のヘッドライトの灯りだけが浮かび上がり、暗闇の中へと消えていく。

どうして誰か一人でも二人と一緒に歩かなかったのか
自分を責めたが、今はどうすることもできず、
どうか4人一緒に無事に戻ってきますようにとただ満天の星に祈るばかりだった。

そうして1時間ほど過ぎたころ、遠くのほうでライトの光が見えた。
1、2、3、、、4!4人全員いる!

りょうくんとちひろちゃんは肉体的にも精神的にもかなり応えていたようで、
途中で村人に助けられながらここまで頑張ってきたらしい。
本当に無事でよかった。

明日は絶対に一緒に歩こうと心に決め、皆でカレーを頬張った。
長時間じっくり煮込んだカレーは、もちろん最っ高に美味しいかった。

Zanskar river























翌朝、前半トレッキングではラストの登り坂を登っているとき、
ふと自分のふくらはぎを見ると以前より明らかに
たくましくなっていることに気がついてしまった。
そりゃ数ヶ月前よりラクチンに登れるようになるはずだと、
自分の体の順応具合に驚きつつ納得。乙女心はしばし忘れよう。


そして順調に山をひとつ越えると、ついにザンスカール川が姿を現した!



















深い谷に囲まれたこの特殊な川のことは、
以前ドキュメンタリー映画で観てから興味をもっていた。

夏季にはほとんど雨が降らないこのザンスカール地方の
大部分の降水は、長い冬季に雪として降ってくる。
そのため、1年の半分ほど雪に覆われるザンスカールに住む子供たちは、
春から始まる学校へ通うため、父親と一緒に
凍ったザンスカール川の上を1週間かけて歩くのだ。
崩れてくる雪に警戒し、氷が分厚いところを確認しながら一歩一歩進み、
夜は氷の洞窟で野宿する。

なんという厳しく、そして美しい場所なんだと映画を観たときに思った。
 
しかしその場所にも、変化が訪れていた。
私たちが歩く川の右側とは逆の左サイドに、しっかりとした車道ができていたのだ。
これが、レーのツアー会社のおじさんが言ってた道か。

まだ開通はしていなかったが、観光客の車やダンプが
その道を通っている光景を思い浮かべると、なんとも寂しい気持ちになった。
ザンスカールの環境と人にどんな影響を与えるのかは、実際その時が来ないと分からない。



















川に沿ってずっと続け、お昼過ぎには全員で次のテントポイントに到着した。
日没までたっぷりと時間があったので、洗濯をしたり、
氷のように冷たい川でシャワーを浴びたりして、思い思いに時間を過ごした。

こんなに皆でゆったりと過ごすのはトレッキングが始まってから
初めだったので、楽しくて笑い声が絶えなかった。

日本的髪の洗い方























謎のヨハネスポージング
















毎晩ご飯を作ってもらっていたから、とランチはヨハネス特製手作りサンドウィッチ、
晩ご飯はりょうくんちひろちゃん特製のスープをいただいた。
限られた食材と調味料で作るいつもと違うレシピに、素直に感激する。

暴走後、何もなかった様子
















翌日はだいぶ山から下り、
だだっ広い平らな砂漠をひたすら歩いた。
喉がすぐに渇き、道に変化もないため一番きつかったかもしれない。

暑さからか欲望が強くなり、頭がぼーっとしだした時、
50mほど先を私たちのウマたちが砂埃を上げて暴走していくのが見えた。

見事な全力疾走、このトレッキング3度目の暴走。

スリさんが大声を上げて後ろから走って追うが追いつくはずもなく、
ウマたちはスピードを緩めず砂漠を駆け抜けていく。

あぁ、今度こそ私たちのバックパックとはおさらばか。
とあきらめモードに入っていたが、数百メートル先で
スリさんはウマたちをキャッチしていた。さすが馬飼いスリさん!

一頭のウマが暴走すれば、あとの4匹も必ず後に続く。
ウマは群れをなして行動するということを、この旅で目の当たりにした。


重低音が街に鳴り響く


















6日間歩き続け、このトレッキングの中間ポイントとなるPadumという街に到着。

ここで二泊し、次のトレッキング一週間分の食料を買い足す。

1週間ぶりに室内で眠れることに歓喜し、勢いよくベッドの布団をめくると、
ねずみの死骸が私たちをお出迎えするというサプライズがあったが、
それも特に気にならないほど、ベッドで眠れることと
あったかいシャワーを浴びられることにありがたみを感じた。

おかげで疲れも一晩ですっかり消え、翌日はタイミングよく地元の寺院で
伝統的なお祭りがあるというので皆で出掛けた。


























大勢の街の人たちがこぞって伝統的な衣装に身をつつみ、1つの寺院に集まっていた。
お祭りというより儀式と言った方がぴったりくるような、神妙な空気感。


なつっこい子供たち



















ゲストハウスでの宿泊、レストランでのご飯、お店での買い物。
どれも2日もすれば十分に満喫し、早く山に戻りたいと思うようになっていた。

いくら不自由でも、あの埃ひとつない渇いた空気と澄んだ空以上に、
私たちを満足させてくれるものは今はない。


メンバーが増えました



















次の日トレッキングから、どこからともなく現れたわんこが仲間に加わります。

つづく。







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